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第6回教育訓練給付制度を活用したキャリアアップ講座の選び方と人気講座一覧
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自分のキャリアに合った教育訓練講座の選び方
働く人が教育訓練給付制度を活用する際は、まず自分のキャリア目標や現在の仕事に必要なスキルを整理しましょう。キャリアアップやキャリアチェンジに役立つ資格・スキルを見極め、その取得につながる講座を選ぶことが重要です。例えば、「経理の知識を深めて昇進したい」場合は簿記講座を、「IT業界へ転職したい」場合はIT系資格の講座を検討するといった具合です。現在の業界動向や将来性も踏まえ、需要の高いスキル(例:デジタル分野や語学)や業務に必須の資格に注目すると良いでしょう。
具体的な講座を探す際には、厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」を活用しましょう。この検索ツールでは、自分が希望する分野や地域、受講形式(オンライン・夜間・週末開講など)で絞り込んで、給付金対象の講座を簡単に検索できます。講座が給付制度の対象かどうかは必ず事前に確認することが大切です。また、専門実践や特定一般の給付金を受ける場合にはハローワークで事前にキャリアコンサルティングを受け、受給資格の確認を行う必要があります。不明な点はハローワークの相談窓口で確認し、制度を最大限に活用しましょう。
※教育訓練講座検索システム:https://www.kyufu.mhlw.go.jp/kensaku
教育訓練給付制度の種類と対象講座の概要
教育訓練給付制度には、目的に応じて一般教育訓練給付・特定一般教育訓練給付・専門実践教育訓練給付の3種類があります。それぞれ給付率や対象講座のレベルが異なるため、以下に概要をまとめます。
- 一般教育訓練給付:働く人のスキルアップ支援が目的。英語検定(TOEICなど)や日商簿記検定、ITパスポート、医療事務資格※など、比較的短期間で取得できる資格講座が対象です。受講費用の20%(上限10万円)が支給されます。※具体例:「TOEIC講座」「簿記講座」「ITパスポート講座」「医療事務講座」等。
- 特定一般教育訓練給付:早期のキャリア形成や再就職に資する講座が対象。宅地建物取引士(宅建)や介護職員初任者研修など、業務に直結する国家資格・公的資格講座が中心です。受講費用の40%(上限20万円)が支給され、さらに講座修了後に資格取得・就職した場合は**追加で20%(上限5万円)**が支給されます(※追加支給適用後は実質50%、上限25万円の給付)。
- 専門実践教育訓練給付:中長期的なキャリア形成を支援する高度な講座が対象。受講期間が1~3年程度と長期にわたる専門資格(例:看護師、保育士、介護福祉士など)が該当します。受講費用の50%(上限年40万円)が支給され、修了後1年以内に資格取得&就職すると追加で20%(上限年16万円)が支給されます。条件を満たせば最大で**講座費用の70%**が給付される手厚い制度です(※さらに2024年10月以降開始の講座は、賃金アップ等の条件で追加10%の給付拡充あり)。
上記のように、自分が受講する講座がどの給付種類に該当するかで支給率・上限額が変わります。次章では、20~40代の若年層やパート層に人気の具体的な講座・資格について、給付種類・費用・給付額の目安を一覧形式で紹介します。
人気講座・資格と給付内容の一覧
以下に、現在人気の高い資格講座について、給付種類(制度区分)、受講費用の目安、および給付率・給付額の目安をまとめました。自分の興味やキャリアに合う講座選びの参考にしてください。
- 日商簿記(2級・3級) – 給付種類: 一般教育訓練給付(20%支給、上限10万円)。受講費用: 約5万~10万円程度(例:専門学校通学コースで約9.9万円)。給付額: 受講料の20%(例:受講料99,000円の場合約19,800円の給付)。簿記資格は経理・事務職のキャリアアップに直結しやすい人気資格です。
- 介護職員初任者研修 – 給付種類: 特定一般教育訓練給付(40%支給、上限20万円)。受講費用: 約5万~8万円(受講費用の全国相場)。給付額: 受講料の40%(例:受講料8万円なら約3万2千円支給)。介護業界への就職・キャリア形成に役立つ入門資格で、修了と同時に資格取得となります。給付金を活用すれば自己負担を大きく減らせるため、未経験から介護職を目指す方にも好評です。
- ITパスポート – 給付種類: 一般教育訓練給付(20%支給、上限10万円)。受講費用: 約2万~3万円(通信講座の場合。例:ユーキャンの通信講座一括26,000円)。給付額: 受講料の20%(上記講座の場合5,200円の給付)。ITの基礎知識を証明できる国家試験で、社会人のリスキリングにも人気があります。
- TOEIC対策講座 – 給付種類: 一般教育訓練給付(20%支給、上限10万円)。受講費用: 講座の形式や期間により様々(例:短期集中講座で約10万円~、本格的なスクール講座では数十万円規模のものもあります)。給付額: 受講料の20%(例:受講料10万円なら2万円給付)。TOEICスコアは昇進・転職時のアピール材料となるため、英語力向上を目指す社会人に定評があります。
- 医療事務(医療事務技能審査試験) – 給付種類: 一般教育訓練給付(20%支給、上限10万円)。受講費用: 約5万円前後(例:通信講座47,850円)。給付額: 受講料の20%(上記講座の場合約9,570円給付)。医療事務はパートや未経験からでも目指しやすく、病院・クリニックでの就職に役立つ資格です。給付金制度により比較的低廉な自己負担で資格取得を目指せます。
- 保育士 – 給付種類: 専門実践教育訓練給付(50%支給、上限年間40万円)。受講費用: 学習ルートによって大きく異なる(例:保育士養成専門学校では年間学費約100万円前後が一般的)。給付額: 受講料の50%を在学中毎年支給(年間上限40万円)+資格取得後就職で20%追加支給。保育士資格は国家資格であり、2年間の専門課程修了や国家試験合格が必要です。専門実践給付金を利用すれば最大で受講料の70%(2年合計で最大約160万円まで)が支給されるため、大きな経済負担軽減につながります。子育て支援分野で長期的に働きたい方には心強い制度です。
- 宅地建物取引士(宅建) – 給付種類: 特定一般教育訓練給付(40%支給、上限20万円)。受講費用: 約10万~20万円程度(例:資格学校の宅建士総合講座 通学コースで約16.5万円)。給付額: 受講料の40%(例:受講料16.5万円なら約6.6万円支給)、修了後条件を満たせば+10%追加支給あり。宅建は不動産業で必置の国家資格であり、取得者は営業や管理業務で優遇されます。給付金を活用することで、自己投資を抑えて短期間での資格合格を目指すことができます。
以上のように、教育訓練給付制度を使えば受講料の一部(20%~最大70%)が支給され、自己負担を軽減しながら資格取得・スキル習得が可能です。20~40代の方やパートタイムで働く方でも、一定の雇用保険加入要件を満たせば利用できます。ぜひ本制度を上手に活用し、自身のキャリアアップに役立つ講座を見つけてください。
教育訓練給付の対象講座等の情報は、厚生労働省のホームページで確認できます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku_00001.html
NotebookLMを使い、Podcast風に上記資料を説明しています。