「行政書士法の一部を改正する法律」が成立しました。

まずは気になる情報から

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・特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-外食業分野の基準について
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 法務省、入管庁、及び農林水産庁ホームページより
 特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-外食業分野の基準について更新され公開されています。

https://www.moj.go.jp/isa/content/001440294.pdf

https://www.moj.go.jp/isa/content/001440234.pdf

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・技能実習制度運用要領について
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 入管庁、厚労省、及び外国人技能実習機構ホームページより

https://www.mhlw.go.jp/content/001471769.pdf

https://www.mhlw.go.jp/content/001496579.pdf

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・宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)の規制開始について
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 千葉県ホームページより
 宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)の規制開始について
 盛土等による災害から人命を守るため、県では、盛土規制法に基づき、県全域を宅地造成等工事規制区域として指定し、令和7年5月26日に規制を開始しましたので、お知らせします。
 として情報が公表されています。

 https://www.pref.chiba.lg.jp/takuchi/press/2025/moridokiseikaisi.html
 
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・電子申請様式作成支援ツールについて
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 厚生労働省ホームページより
 労働条件ポータルサイト「確かめよう労働条件」から電子申請ができるようになりました。
 として電子申請様式作成支援ツールが当該ページに追加されています。

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000716053.pdf

https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/support_1.html

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・風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令
・風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係国家公安委員会規則の整備に関する規則
・インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律施行令及び特定複合観光施設区域整備法施行令の一部を改正する政令
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 官報 令和7年6月6日(号外 第125号)にて
 ・風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令
 ・風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係国家公安委員会規則の整備に関する規則
 ・インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律施行令及び特定複合観光施設区域整備法施行令の一部を改正する政令
 が公布され、令和7年6月28日より施行されます。

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・譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律
・譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律
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 官報 令和7年6月6日(号外 第125号)にて
 ・譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律
 ・譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律
 が公布され、一部を除き2年6月を超えない範囲内で政令で定める日から施行されます。


今日はこの話をするしかないです。
「行政書士法の一部を改正する法律」が令和7年6月6日に可決され成立しました。

まずは、行政書士制度推進議員連盟の議員の皆様、そして、改正のために尽力いただいた日本行政書士政治連盟、その他関係各位の皆様に感謝申し上げます。

今回の改正には、各種念願の改正が盛り込まれています。
大きくくくると以下の内容です。
①行政書士法の目的規定から使命規定へ
②職責として、デジタル社会の進展を踏まえ、情報通信技術の活用その他の取組を通じて、国民の利便の向上及び当該業務の改善進歩を図るよう努めなければならないものとすること。
③特定行政書士の業務範囲の拡大
④業務の制限規定の趣旨の明確化
⑤両罰規定の整備

この中の3つについて記載したいと思います。
まずは①について
法令の多くは、最初に「目的規定」というものを置きます。
行政書士法もそのようになっていました。
しかし、目的規定とされていたことから、行政書士は行政書士法の各種規定を遂行するための一要素のような内容になっていました。
少し分かりやすく言うと、「行政書士は、行政書士法の規定の内容を遂行するために存在する。」という感じです。
これが、使命規定に代わりました。
見た目は、単に「目的」が「使命」になっただけのようですが、法と行政書士の関係性が大きく変わります。
分かりやすく言うと、「行政書士法は行政書士のために存在する。」という感じになります。
そして、「行政書士は、その業務を通じて、行政に関する手続の円滑な実施に寄与するとともに国民の利便に資し、もって国民の権利利益の実現に資することを使命」とするとなっていますので、行政書士法は、行政書士のための法であり、国民の権利利益のための法でもあると言う事になります。

次に、先に④について
「業務の制限規定の趣旨の明確化」ですが、これは長年行政書士が苦しめられてきた規定の改正です。
なにかというと、いわゆるグレーゾーンの解消です。
これまで「表面上無償」であれば、他の士業やコンサル等が行政庁への申請書(データ)作成や申請を行う事が可能になっていました。
何故かというと、行政書士法では「他人の依頼を受け<<報酬を得て>>、官公署に提出する書類」と定められているためです。
その条文(第1条の2)自体は変わらないのですが(第1条の3にはかわりますが)、第19条(業務の制限)で「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」行政書士の独占業務を行う事が出来ないと定められたため、これまで他の士業が、顧問契約してくれたら、申請書(行政書士の独占業務の申請書)と申請は無料でやります。として顧問契約を獲得している士業がありましたが、それが事実上出来なくなります。
なぜか?それは「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」となっているので、別途顧問料を得るという形で報酬を得ていれば、申請書作成や申請を無料と言ってもダメと言う事になるからです。
市民の皆さんは、もし顧問契約(他に、〇〇で費用出してくれたら等も)してくれたら、申請書作成は無料とか、申請は無料とか言われたときに、じゃあ顧問契約しないので申請書作成を無料でやってください!と言って、それはできないといったら、その時点で行政書士法違反行為をしていると明確になります。
なぜなら、本当に申請書作成さ無料なら、顧問契約しなくても無料なはずですよね?でも顧問契約ないならできないというなら、それは、顧問契約料に申請書作成料が「含まれている」事になるからです。
ですので、もし市民のみなさん(特に事業を行っている方でしょうか?)が、税理士や社労士、コンサルやFP等にそのように言われた場合は、上記のように言って明確にして、無料ではやらないと言われた行政書士法違反なので、行政書士会などへ通報してください。
場合によっては、不当利得返還請求として、その行政書士以外の人に払った金を取り戻せる場合もありえます。

最後に③について
これは、「特定行政書士」念願の改正です。
なぜか?
これまで特定行政書士は「行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求」等の代理が行えました。
ですがこの「作成した」の<<した>>という文言のせいで、自分や他の「行政書士が」作成した場合しか、審査請求等の代理が行えません。
つまり、「申請者本人」である市民の方が自分で申請した場合で、不許可処分等となった場合には、特定行政書士は審査請求等の代理が行えませんでした。
しかし、今回の改正では「行政書士が作成することができる」となり、申請者本人(市民)が作成した申請書等の書類に関する不許可等の処分についても、特定行政書士が審査請求等の代理が行えるようになりました。
これまで、申請者本人の申請等に関する審査請求は、弁護士しか代理が行えませんでしたので、費用面でも市民の皆さんは負担になっていたと思います。
もちろん、弁護士と特定行政書士の数も違いますので、対応してもらえる人を探すのも大変だったと思います。
そして、弁護士は、法律の専門家でありますが、行政書士は、行政手続きの専門家でもあるので、行政の処分である不許可等の仕組みを、場合によっては弁護士よりも把握しています。
そういう意味で、行政庁による処分に対する審査請求は、特定行政書士(特に当該元の申請に精通した行政書士)が担うと、より有利ではあります。

このように、行政書士としては、念願の改正が今回行われ、成立しました。
この「行政書士法の一部を改正する法律」は、令和8年1月1日より施行されます。

これからも、今回の改正にも盛り込まれた通り「業務に関する法令及び実務に精通して、公正かつ誠実に」業務を行っていきたいと思います。